滋賀県大津市の有名な文化遺産の一つに近江大津宮があります。これは天智天皇が667年に大津に遷都した際に築かれたもので、その場所は5年間日本の都でありました。

歴史的に重要な文化遺産は近江大津宮の他にも、南滋賀町廃寺跡や近江大津宮錦織遺跡、穴太廃寺、崇福寺跡、また天智天皇に縁のある石山寺や日吉大社、園城寺というような、素晴らしい寺院跡などがあり、豊かな自然に囲まれた環境と相まって、大津の長い歴史の中で育まれてきた風土を存分に感じることができます。

近江大津宮は5年間日本の都として栄えたものの、その後壬申の乱が起き、大友皇子が大海人皇子に敗れたため廃都となりました。しかし大津はその一件でなくなってしまったわけではなく、堂ノ上遺跡や律令期の近江国庁跡などから分かるように、その後も素晴らしい文化・地域環境であったと考えられます。

そして時代が進み、奈良時代になると、近江国府が置かれ、政治の中心として繁栄しました。親鸞や法然、日蓮などの鎌倉仏教の重要人物を輩出した延暦寺が最澄によって創建され、さらに、園城寺・石山寺を中心として、平安仏教や鎌倉新仏教の草創期において文化の中心地として栄えました。

文化的に重要な役割を果たした大津ですが、軍事的に見ても重要な土地でした。琵琶湖を利用した交通の要衝であり、物資の中継基地として非常に重要な場所でしたので、宿場町や港町としても栄えました。