滋賀県大津市の葛川息障明王院では、毎年7月18日の夜に「太鼓回し」という行事が行われます。
この行事は平安時代の初期にこの場所に修験道場を開いた相応和尚の修行を表現したもので、地元の若者たちが1人ずつ交代で、本堂外陣板の間で直径1.2m程ある大太鼓を勢いよく回し、やがて回転が止まると行者が太鼓に乗り、勢いよく飛び跳ねるというものです。

この行事は、相応和尚がこの付近にある三の滝で修行していると不動明王を感得し、抱きつこうとして滝壺に飛び込んだところ、それは桂の木で、その木を使用して千手観音を彫って祀ったという伝説にちなんで行われているようです。
ちなみに僧侶が一か所に籠って修行することを安居といいますが、開催日である7月18日は、行者たちが参籠し、安居を行う葛川参籠の3日目にあたります。

この「太鼓回し」の舞台となる葛川息障明王院の明王堂は、毎年行われてきたこの行事で太鼓をまわした際についた跡が床に残っていて、床はぼこぼこしていて若干柔らかく感じられるそうです。
「太鼓回し」が終わった後は、法要と祈祷が行われ、その後行者たちの案内で、普段は非公開になっている内陣のお参りをします。めったに見れない内陣のご本尊や仏画などもこの時ばかりは拝観できます。

葛川息障明王院へのアクセスは、電車を利用する場合はJR堅田駅からバスに乗り、「坊村」停留所で降りて徒歩で約3分です。自動車を利用する場合は湖西道路真野ICから約30分です。

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