住居内の様々な要因が人間の健康状態に与える影響はとても大きいものです。室内の温度調節が満足にできないような住まいなら体温調節の機能が損なわれてしまい、冷え性になり、身体に生じる様々な不調の原因になってしまう危険があります。
また、室内が高温多湿状態であれば、様々なアレルギー症状を引き起こす原因となるダニが大量に発生してしまう危険があります。これらの有害な要因について、住居が完成した後に対処することもできますが、より効果的に対処するには新築一戸建ての建築前の設計の段階で有効な対策を取っておくのがよいでしょう
まず冷えの対策については、暖房設備を充実させることが考えられますが暖房に頼りすぎると、暖気が室内の上部にばかりたまってしまい温めなければならない足元が冷えたままなんてことになったり、のぼせてしまったり、乾燥肌になってしまったりするかもしれません。
このような状態が続けば、たとえもともと健康であったとしても長期間その環境で過ごすうちに冷え性になってしまう危険もあります。そこで重要となってくるのが住まい全体の断熱性・気密性を高めることです。
そうすることによって住居のどこにいても足元から身体全体が暖まって冷えを防ぐことができるようになります。床暖房システムもその対策のひとつと言えるでしょう。
次に住居内において人間の健康状態に悪影響を与える大きな要因の一つにダニなどのハウスダストがあります。
ダニは住宅内に生息しているものや外から入ってくるものなど種類はあるものの、みな高温多湿の環境を好みます。
住宅内の室内環境はまさにダニが生息・繁殖するのに最適な条件なのです。
ダニが出した糞やダニの死骸はアレルギー症状を引き起こす原因となるもので、その大きさは極めて微細であり、室内の空間に大量に浮遊してしまいます。それらはふとんや絨毯、ソファなどに付着し、さらに人間の体内に入ったり皮膚に付着したりして様々なアレルギー症状を引き起こしてしまうのです。
アレルギーの原因には様々なものがあり、よく知られているのが卵や大豆、花粉などですが、実はその大半を占めているのはダニやダニの死骸などのハウスダストなのです。
ダニやハウスダストは住宅内に大量に存在しているためそれらを完全に除去することは非常に困難です。そこでそれらを極力少なくするために、住宅そのものをダニを寄せ付けないものにする必要があります。
ダニの生育条件は酸素、栄養源、湿度、温度ですが、中でも湿度が特に重要な要素です。
たとえ温度が低くても湿度が十分であればダニは生育でき、逆に温度が適温でも湿度が低ければ一定期間が経過すると死滅してしまいます。従ってダニ対策において重要なのは湿度の管理ということになります。そしてそのような湿度管理を十分に行うためには住宅そのものを断熱性・気密性の高いものにしなければなりません。