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住まいとそれを取り巻く環境が人間の健康状態に影響を与えることは多々ありますが、その中でも特によく取りざたされるのが騒音問題とヒートショックです。一戸建て等の住まいを観測対象としてそこで観測されるすべての騒音である環境騒音は騒音問題が深刻な都市部のみならず郊外においても問題となり始めています。

環境騒音がひどい場所になるとエンジン音やクラクションなどの自動車から発せられる音などが一日中、時には深夜まで鳴り響きます。

9106-fig002このように環境騒音がひどい状況では精神的な負荷が増大し、血圧が上がったりすることもあります。

また、さらにひどい鉄道沿線にもなると環境騒音は人の心不安定にさせたりイラつかせたりすることもあり、中には慢性的な疲労の原因につながる場合も出てくるほどのものとなります。

 

このような環境騒音と人が感じるストレスは密接に関連しており、環境騒音の程度が高くなるにしたがって人にかかるストレスも増大します。

そのような状態が続けば自律神経のバランスがくずれてしまい、日々の睡眠にも影響して睡眠障害など健康を損なう原因となってしまいます。

また、環境騒音による被害は精神的なものにとどまらず、高レベルの騒音を浴び続けることによって聴力低下していく騒音性難聴を引き起こす原因となる危険もあります。

9106-fig003このような被害を被らないためにも新築一戸建てを建築する場合にはしっかりと騒音対策を行いたいものです。

その場合のポイントは、住まいの中に外部の騒音を入ってこさせないことにあります。そのためには、住宅そのものが隙間の少ない高気密なものでなければなりません。

 

また、構造的に気密性が弱くなってしまう玄関などの開口部については高い防音性をもつサッシを採用するといった遮音対策が必要となるでしょう。

次に注意しなければならないのがヒートショックです。ヒートショックとは、暖かい部屋から寒い部屋、あるいは寒い部屋から暖かい部屋へと移動した際に急激な温度変化により、血圧や脈拍に変動が生じ、血管や心臓に多大な負担がかかることをいいます。

 

9106-fig004ヒートショックは冬の寒い時期にバスルームやトイレで起きやすいとされており、特にバスルームで発生する事故は冬の厳寒期に集中していることが統計上分かっています。

夏場はバスルームの温度にそれほど変動があるわけではありませんが、冬場は脱衣所からバスルームに入り湯船につかるまでの温度が低く血圧が上昇し、湯船につかると一気に温度が上昇するため血圧は急激に下がります。

そして入浴が終わり再び脱衣所に戻るとまた一気に温度が下がるので急激に血圧が上昇します。このような血圧の急激な変動が血管に多大な負荷をかけてしまうのです。

特にお年寄りの場合、高血圧で血管が硬化していたり、脆くなっていたりすることが多く、バスルームでのヒートショックが原因の事故の危険性はより高くなります。

9106-fig005ヒートショックを引き起こさないようにするためには室内の温度差を極力なくすことが大事です。そしてそのためには住宅を全館暖房にすることも有効な手段の一つです。

さらに室内温度を一定に保つためには外気温と影響を極力受けないよう、建築する住宅は断熱性と気密性が高い構造にすることも大事です。

そして暖房については室内全てが足元から暖かくなるよう、床暖房システムなどを採用するのもよいでしょう。